科学的根拠に基づく手の痛み治療
ばね指(弾発指・狭窄性腱鞘炎)
ばね指は、指を曲げる腱とその動きを支えるトンネル状の組織(靱帯性腱鞘)との間でひっかかりが生じることで起こる腱鞘炎の一種です。炎症によって腱や腱鞘が腫れることで、指の滑らかな動きが妨げられ、「ばね現象」と呼ばれる特有の症状が現れます。
特に更年期や妊娠・出産期の女性、糖尿病や関節リウマチをお持ちの方、そして指を頻繁に使う職業の方に多く見られます。

- 指の曲げ伸ばしで「カクン」とひっかかる(ばね現象)。
- 指の付け根に痛みや腫れ、熱感がある。
- 特に朝方に指がこわばり、動かしにくい。
- 悪化すると、指が曲がったまま、あるいは伸びたまま自力で動かせなくなる。

当院での科学的根拠に基づく治療
一般的な治療法であるステロイド注射は有効性が高い一方で、半年後の再発率が約50%に達するとの報告もあります。当院では、より根本的な改善を目指し、質の高い科学的エビデンスに裏付けられた鍼治療や超音波治療を提供します。
【鍼治療・アキュトミー】
2023年のシステマティックレビュー(質の高い研究をまとめた報告)では、ばね指に対する鍼治療の有効性が結論づけられています。特に「アキュトミー(鍼刀)」という特殊な鍼を用いた方法は、従来の手術と比較しても有効率が高く、痛みや再発率が低いことが示されました。通常の鍼治療でも、局所の血流を改善し炎症を抑えることで、痛みやばね現象を軽減します。
【超音波治療】
治療的超音波は、薬剤の浸透を助けたり(フォノフォレーシス)、体外衝撃波(ESWT)と組み合わせることで、即時的な機能改善や長期的な痛みの軽減に有効であることが報告されています。
重要:複数の研究で、罹病期間が短いほど治療効果が高いことが一貫して示されています。慢性化すると組織の線維化が進み、改善が難しくなるため「症状が出たら、できるだけ早く治療を開始する」ことが、より少ない負担で高い効果を得るための鍵となります。
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指の拘縮(指が曲がらない・伸びない)
指の拘縮とは、関節の動く範囲が制限され、自力でも他人の力でも完全に曲げたり伸ばしたりできなくなった状態を指します。原因は様々で、骨折や手術後の長期固定による組織の癒着、脳卒中後の痙縮(筋肉のつっぱり)、あるいはデュピュイトラン拘縮のように手のひらの膜が硬くなる病気 など多岐にわたります。原因を正確に特定することが、適切な治療への第一歩となります。
- 指が完全に伸びない、または曲がらない。
- 朝、特に関節が硬く、動かしにくい。
- 無理に動かそうとすると痛みや強い抵抗感がある。
- 物をつかむ、握るといった日常動作が困難になる。

当院での科学的根拠に基づく治療
指の拘縮治療では、その原因に応じた専門的なアプローチが不可欠です。当院では、原因を的確に見極め、最適な治療法を組み合わせることで、可動域の改善を目指します。
【鍼治療・アキュトミー】
特に骨折後の固定などによって生じた線維性の癒着に対しては、アキュトミー(鍼刀)が有望です。これは、硬くなった組織や癒着した部分を物理的に剥離する低侵襲な手技で、従来のリハビリで改善しなかった症例での著しい機能改善が報告されています。また、脳卒中後などの神経性の痙縮が原因の場合は、火鍼(かねばり)という特殊な鍼が有効な可能性があり、通常の鍼治療より高い効果を示したとする研究報告もあります。
【超音波治療】
治療的超音波の温熱効果は、瘢痕組織や関節包といった硬い組織の伸張性を高める作用があります。研究では、超音波を照射することで関節可動域が一時的に増大することが示されており、これは超音波をストレッチや徒手療法の「準備」として活用することで、リハビリ効果を最大化できることを意味します。いわば、硬くなった組織を最も効果的に伸ばせる「治療の窓」を作り出すための重要なツールです。
TFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)
TFCC(三角線維軟骨複合体)は、手首の小指側にある軟骨や靱帯の集まりで、手首の関節を安定させるクッションの役割を担っています。転倒して手をついたり、テニスやゴルフのように手首を繰り返しひねる動作によって、このTFCCが損傷します。加齢による変性が原因となることもあります。
- ドアノブを回す、タオルを絞るなど、手首をひねる動作で小指側が痛む。
- 手首の小指側に腫れや圧痛(押すと痛い)がある。
- 手をついて立ち上がる時に痛みが走る。
- 手首を動かすとクリック音(ポキポキ鳴る感じ)がすることがある。
当院での科学的根拠に基づく治療
TFCC損傷の治療では、安静や固定が基本ですが、回復を促進し、より早く競技や日常生活に復帰するために、補助的な治療が非常に重要になります。
【電気鍼(パルス)治療】
TFCC損傷に対しては、特に電気鍼が有効であることが質の高い研究で示されています。ある臨床試験では、通常の理学療法に電気鍼を追加したグループは、理学療法のみのグループと比較して、痛み、機能、生活の質のすべての項目で有意に優れた改善を示しました。これは、電気鍼が痛みを効果的に抑えることで、患者様がリハビリに前向きに取り組めるようになり、「疼痛軽減 → 機能回復の促進」という好循環を生み出すためです。手術後の回復促進にも有効性が認められています。
【超音波治療】
治療的超音波は、炎症を抑え組織の治癒を促す目的で用いられます。しかし、TFCC損傷における超音波の真価は、むしろ診断や手技の補助にあります。

ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)
ドケルバン病は、手首の親指側にある腱と、その腱を覆うトンネル状の「腱鞘」との間で炎症が起こる疾患です。親指や手首の使いすぎにより、腱と腱鞘がこすれて炎症を起こし、痛みや腫れを引き起こします。
産後や更年期の女性に特に多く見られるほか、スマートフォン操作やデスクワークなど、親指を多用する方に好発します。
- 手首の親指側に痛みや腫れがある。
- 物をつかむ、タオルを絞るなど、親指を使う動作で痛みが悪化する。
- 親指を中に入れてこぶしを握り、手首を小指側に曲げると激痛が走る(フィンケルシュタインテスト陽性)。
当院での科学的根拠に基づく治療
標準的な治療法であるステロイド注射は有効ですが、皮膚の萎縮や色素脱失といった副作用のリスクも指摘されています。当院では、より安全で効果的な非薬物療法を第一選択肢としてご提案します。
【鍼治療】
ドケルバン病に対する鍼治療の有効性は、複数の質の高いランダム化比較試験(RCT)によって証明されています。あるRCTでは、鍼治療がステロイド注射と同等の有効性を持つことが示され、ステロイドの代替療法として確立されました。鍼は炎症を抑え、組織の修復を促し、関連する筋肉の緊張を和らげることで、痛みと機能障害を改善します。もはや単なる補助療法ではなく、ステロイド注射と並ぶ有効な選択肢です。
【超音波治療】
治療的超音波は、ドケルバン病に対する有効な物理療法として認識されています。特にパルス波を用いることで、非温熱効果により腱の治癒と組織再生を促進します。ある研究では、超音波治療と装具(スプリント)による固定を組み合わせることで、単独治療よりも高い効果が得られることが示されており、当院でも物理療法と機械的安静を組み合わせた包括的なアプローチを推奨しています。

変形性関節症(ヘバーデン結節・プシャール結節・母指CM関節症)
手指の変形性関節症は、関節の軟骨がすり減ることで痛みや変形が生じる進行性の疾患です。特に閉経期前後の女性に好発することから、女性ホルモンの関与が示唆されています。
●ヘバーデン結節: 指の第一関節(DIP関節)に発症。こぶ(結節)、痛み、腫れが特徴です。
●プシャール結節: 指の第二関節(PIP関節)に発症。症状はヘバーデン結節と同様です。
●母指CM関節症: 親指の付け根(CM関節)に発症。物をつまむ動作で痛み、進行すると変形をきたします。

当院での科学的根拠に基づく治療
重要:まずご理解いただきたいのは、鍼治療も超音波治療も、一度変形してしまった骨の形を元に戻すことはできません。治療の目標は、変形を「治す」ことではなく、痛みや炎症といった症状を管理し、生活の質(QOL)を向上させることです。この正しい理解が、治療を成功させる上で非常に重要です。
【鍼治療】
複数のシステマティックレビューで、変形性関節症全般に対する鍼治療が、痛みの緩和と身体機能の改善に有効であることが示されています。これは、鍼刺激が体内で鎮痛作用を持つエンドルフィンや、抗炎症作用を持つホルモンの放出を促すためと考えられています。症状をコントロールすることで、鎮痛薬への依存を減らし、快適な日常生活を送るためのサポートをします。
【超音波治療】
治療的超音波は温熱効果により血流を改善し、痛みを和らげる目的で用います。
関節リウマチ
関節リウマチ(RA)は、免疫システムの異常により、自分自身の関節(特に滑膜)を攻撃してしまう自己免疫疾患です。この慢性的な炎症が、関節の軟骨や骨を破壊し、不可逆的な変形と機能障害を引き起こします。変形性関節症とは病気の成り立ちが根本的に異なります。
- 複数の関節(特に手足の指)が対称的に腫れて痛む。
- 朝起きた時に1時間以上続く強いこわばりがある。
- 微熱や全身の倦怠感が続く。
- 進行すると、指が小指側に曲がったり(尺側偏位)、特有の変形(スワンネック変形など)が見られる。
当院での補助療法としての役割
【最重要】関節リウマチは、放置すると関節破壊が進行する重篤な全身性疾患です。治療の根幹は、リウマチ専門医による抗リウマチ薬(DMARDs)を用いた薬物療法です。当院の鍼治療や超音波治療は、あくまでこれらの標準治療と並行して行う「補助療法」です。薬物療法に取って代わるものでは決してなく、疾患そのものを治すことはできません。
【補助療法としての鍼治療】
鍼治療の役割は、薬物療法を続けながら、関節の痛みやこわばりといった症状を緩和し、生活の質(QOL)を向上させることにあります。エビデンスレベルは様々ですが、鍼治療がRA患者の症状や機能に有益である可能性が示唆されており、「試みる価値がある」とされています。鎮痛作用を持つエンドルフィンの放出などが作用機序として考えられています。
【補助療法としての超音波治療】
コクランレビューによると、治療的超音波はRA患者の手の握力を有意に増加させ、朝のこわばりや関節の腫れ・痛みを軽減する可能性が示されています。温熱効果による血流改善や、非温熱効果による抗炎症作用が期待されます。
突き指

まず重要なのは、「突き指」は病名ではなく、指先にボールが当たるなど軸方向に力が加わった「ケガの総称」であるということです。その結果生じる実際の病態は、軽い捻挫から、腱損傷(マレットフィンガー)、関節の脱臼、そして骨折まで多岐にわたります。
自己判断は非常に危険であり、骨折など重篤な損傷を見逃さないため、専門家による正確な診断が不可欠です。
●突き指をしたら、絶対に引っ張らないでください!
「突き指は引っ張れば治る」というのは危険な迷信です。損傷した靭帯や腱、骨をさらに傷つけ、症状を悪化させる可能性があります。正しい応急処置はRICE(安静・冷却・圧迫・挙上)です。
当院での亜急性期・慢性期における治療
当院では、まず第一に骨折や脱臼、重度の腱断裂など、緊急性の高い疾患を除外するための鑑別診断を最優先します。必要に応じて、提携する医療機関でのレントゲン検査をお勧めします。
その上で、捻挫など当院の治療適応と判断された場合、急性期の炎症が落ち着いた後(亜急性期・慢性期)の回復を促進するための治療を行います。
【鍼治療】
鍼や灸を用いて、痛みの緩和、腫れの軽減、そして局所の血流促進を図り、組織の治癒を早めます。低周波の電気を流す鍼治療も、鎮痛に非常に効果的です。
【超音波治療】
亜急性期において、超音波や特殊な電気治療(マイクロカレントなど)を併用することで、炎症をコントロールし、腫れを早期に軽減させ、傷ついた組織の修復を促進します。
手根関節炎(手首を反らした際の痛み)
「手首を反らすと痛い」という症状は、特定の病名ではなく、様々な原因によって引き起こされます。自己判断で放置すると、原因となっている疾患が悪化する可能性があります。治療の成否は、まず痛みの根本原因を正確に特定できるかにかかっています。
考えられる主な原因には、以下のようなものがあります。
● TFCC損傷: 手首の小指側にある軟骨の損傷(本ページの「TFCC損傷」の項を参照)。
● 変形性手関節症: 加齢などにより手首の関節軟骨がすり減った状態。
● 腱障害: 尺側手根伸筋(ECU)腱炎など、手首を動かす腱の炎症。
● 手根管症候群: 主に指のしびれを引き起こしますが、手首の痛みを伴うこともあります。

当院でのアプローチ:鑑別診断の重要性
当院では、「手首を反らすと痛い」という患者様に対し、まず詳細な問診と理学検査を用いて、痛みの原因がどこにあるのか(軟骨、腱、神経など)を正確に突き止めます。
原因が特定できた後は、それぞれの疾患に対する科学的根拠に基づいた治療を行います。例えば、痛みの原因がTFCC損傷であれば電気鍼を中心としたアプローチを、変形性関節症であれば症状管理を目的とした鍼治療を、腱炎であれば超音波と鍼を組み合わせた抗炎症アプローチを選択します。このように、診断に応じて治療法を最適化することで、効果的な症状改善を目指します。





























【朝倉鍼灸整骨院からのコメント】
K様の症状は、ホルモンバランスの変化と育児による手の使い過ぎが原因の典型的なドケルバン病でした。痛みの原因である「腱鞘」の炎症を引かせるため、超音波治療と炎症を抑える特殊なツボへの鍼治療を行いました。マッサージでは届かない深部へアプローチしたことで、早期改善に繋がりました。ご指導したセルフケアも熱心に続けてくださり、素晴らしい回復です。